DX認定制度とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の促進を目的に経済産業省が推進する制度です。この制度に登録された事業者は、DX認定事業者となります。本記事ではDX認定事業者になるメリットや方法を解説。申請方法を流れに沿ってわかりやすく紹介します。
目次
1. DX認定制度とは
DX認定制度とは、経済産業省が推進する制度で、企業のデジタル変革(DX)への取り組みを促進することを目的としています。「情報処理の促進に関する法律」に基づき、デジタルガバナンス・コードの基本的事項に対応し、DX推進の準備が整っていると認められた企業を国(経済産業省)が認定する制度です。
この制度では、企業がデジタル技術を活用してビジネスのモデルやプロセスなどを変革し、競争力を強化していくための取り組みを評価します。認定を受けることで、企業は自社のDXへの取り組みを対外的にアピールできるだけでなく、さまざまな支援を受けることも可能です。
2. DX認定制度の概要
DX認定制度が制定された背景には、日本企業のデジタル化の遅れに対する危機感があります。グローバル化や技術革新が加速する中、多くの日本企業はデジタル技術の活用において、海外企業に後れを取っているのが現状です。
この状況を打破し、日本企業の競争力強化を図るために始まったのがDX認定制度です。企業のDX推進を加速させる必要があるという認識が広まり、そのための施策としてDX認定制度が創設されました。
2-1. DX認定制度の対象
DX認定制度はあらゆる事業者が対象です。株式会社はもちろん、公益法人や合同会社などの各種法人、個人事業主もDX認定事業者になれます。
つまり、事業の規模や業種は問わず、DX推進に取り組むすべての事業者が対象となります。
2-2. DX認定事業者一覧
DX認定を受けた企業は、「DX認定事業者」として、Webで公表されます。この一覧には、企業名、業種、認定レベル、DX推進の取り組み内容などが掲載されています。
DX認定事業者一覧は、以下のURLから確認できます。
3. DX認定を取得するメリット
DX認定事業者は認知向上や採用強化など、さまざまなメリットを享受できます。対外的な信用力向上や資金調達、人材確保など、多岐にわたるメリットを詳しく見ていきましょう。
3-1. 審査過程で自社の課題を整理できる
DX認定を取得するには、自社のDX推進状況を客観的に評価する必要があります。この評価プロセスを通じて、自社の強みや弱み、課題を明確に把握できます。
たとえば、DX推進体制や人材育成、ITシステムの整備状況などを分析することで、改善すべき点が浮き彫りになります。この分析結果を基に、具体的な改善策を検討することで、より効果的なDX推進が可能になります。
3-2. 認知度・信用向上につながる
DX認定を取得した企業は、DX推進に積極的に取り組んでいる企業として、社会的な認知度や信用度を高められます。
これは、顧客や取引先からの信頼獲得にもつながり、ビジネスチャンスの拡大にもつながるでしょう。また、投資家からの評価向上も見込めるため、資金調達をスムーズに行ううえでも有利に働きます。
3-3. 採用強化につながる
近年、IT人材の不足が深刻化しています。優秀な人材を獲得することは企業にとって大きな課題です。DX認定を取得することで、DX推進に力を入れている企業として、求職者へのアピール力を高められます。
特に、デジタルネイティブ世代の若者にとっては、DX推進に積極的な企業は魅力的に映るでしょう。採用活動においても、DX認定事業者となることで、より多くの優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。
3-4. DX銘柄に応募できる
DX銘柄とは、東京証券取引所が選定する、DX推進に優れた企業のことです。DX認定を取得することで、このDX銘柄に応募する資格を得られます。
DX銘柄に選定されると、投資家からの注目度がさらに高まり、企業価値向上に大きく貢献します。また、メディアにも取り上げられる機会が増えるため、企業の知名度向上にも効果が期待できます。
3-5. 控除や融資が受けられる
DX認定事業者は、国や地方自治体からさまざまな支援を受けられます。たとえば、「DX投資促進税制」を利用することで、税額控除(最大5%)または特別償却(30%)を受けることが可能です。
また、日本政策金融公庫から、基準金利(1.50%)よりも低い利率(0.85%)で融資を受けることもできます。これらの支援制度を活用することで、DX推進に必要な資金を調達しやすくなります。
4. DX認定を取得する方法
DX認定を取得するには、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、認定要件から申請の流れ、費用まで、具体的な取得方法を解説します。
4-1. 認定要件
DX認定制度はデジタルガバナンス・コードに対応しているため、認定を受けるためには、デジタルガバナンス・コードの各項目にある施策を実施したり、体制を整備したりする必要があります。
具体的には経営ビジョンとDX戦略の連動、DX戦略の策定と推進、ステークホルダーとの対話などが必要です。デジタルガバナンス・コードの詳細は、経済産業省発行の資料から確認できます。
デジタルガバナンス・コード3.0~DX経営による企業価値向上に向けて~
4-2. 申請から取得の流れ・期間
DX認定事業者の審査はIPA(情報処理推進機構)が行っています。申請先もIPAとなり、申請はWebからできます。申請の流れは以下の通りです。
- 申請ガイダンスの確認:IPAの資料からDX認定制度の申請要項を確認する
- 申請書類の準備:IPAのWebページから「DX認定制度 認定申請書」をダウンロードし記入する
- オンライン申請:DX推進ポータルから必要書類を提出し、申請する
※GビスIDの取得がまだの場合、「GビズIDを新規登録する」から登録する
申請から認定までの期間は、通常 2~3ヵ月程度 かかります。ただし、申請内容や審査状況によっては、さらに時間がかかる場合もあります。
4-3. かかる費用
DX認定制度への申請や審査、認定には費用はかかりません。ただし、DX推進にはITツールの導入費やコンサルティングの利用費などの費用がかかるでしょう。費用だけでなく、ITツールの導入や既存システムとの連携、DX人材の育成・確保などには時間と労力もかかります。
どの程度の費用や時間、労力がかかるかは企業により異なります。まずはDX推進の計画を立てること、必要に応じてコンサルタントに相談することが大切です。
【まとめ】DX認定制度を通して自社の課題整理とDX推進を
DX認定制度は、認定を受けDX認定事業者になることだけが目的ではありません。DX認定制度への申請を通して、自社のDX推進の現状や課題を明確にし、改善していくことが重要です。税額控除や低金利での融資、DX銘柄への応募など、DX認定事業者になる目的も明確にしておきましょう。
認定取得のプロセスは、自社のDX推進体制を見直す良い機会となります。デジタルガバナンス・コードを参考に、経営ビジョン、戦略、組織、人材、技術など、多角的な視点から現状を評価することで、新たな課題や改善点が見えてくるでしょう。
DXは、もはや一部の企業だけの取り組みではありません。あらゆる企業が生き残りのために、取り組むべき課題といえます。DX認定制度を、自社のDX推進を加速させるためのツールとして積極的に活用していきましょう。
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